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お腹の具合が悪いときは

 慣れない外国に来たばかりのころは、一過性の下痢にかかることがよくあります。これはどうやら飲み水の微妙な成分と関係があるらしく、

普段と違う水を飲むと腸内細菌の構成が変わるため、大腸菌により軽い下痢が生じると言われています。

多くの場合は、軽い下痢止めを服用する以外に特別な治療は必要ありません。しかし、すべての下痢が軽視してよいわけではありません。

ではどんな場合に注意しなければならないのか、見ていくことにしましょう。


①下痢の回数が多い

 下痢をすると体が脱水状態になります。1日5~6回以上の下痢を起こすと、脱水傾向はより強くなるので注意が必要です。

いくら口から水を飲んでも、それ以上の水分が下痢として失われるため脱水症状が進行します。

脱水の判定には、体重の変化を見ることが一番有効ですから、下痢が激しくなったら、すぐに体重を測定し記録しておいて医療機関に報告するといいでしょう。


②下痢と同時に熱がある

 下痢だけでなく発熱もあるときは、様々な感染症を疑う必要があります。

場合によっては抗生物質の投与が必要となりますので、必ず医療機関で診察を受けてください。


③腹痛が激しい

 下痢をする直前は軽い腹痛を伴うことが多いものですが、下痢の後でその痛みが消えていればあまり心配はいりません。

しかし、下痢を起こした後も激しい腹痛があるときは、感染症の可能性があります。そういう場合は、重症になることがあるので医療機関の受診が必要です。


④老人と子供は要注意

 下痢を起こしたときは消耗が激しいため、その人の体力がどれくらいあるかが結果に大きく作用します。

働き盛りの成人なら体力もあり、仮に感染症などの場合でもきちんとした診断を受ければ持ちこたえることができますが、体力の弱い子供と老人は死に至ることもあるので特に注意しましょう。

 強い下痢症から身を守るにはどうしたらよいのでしょうか。下痢症の病原菌は多くの場合、口から体内に入ります。食べ物は加熱されていれば大丈夫ですが、問題は水です。発展途上国など環境衛生が十分でないところの生水は安全とはいえません。レストランで出される果物をしぼったジュースなども、中に入っている氷に病原菌がいる場合がありますので注意してください。


 次に、下痢を起こしてしまったときの養生法を見ていきましょう。医療機関に受診する以外に、自分でできる対処法として以下のようなことがあります。


①水分を補給する

 下痢は水分を大量に失いますので、できるだけ水分補給を心がけるようにしてください。

その際、ただの真水よりも塩をひとつまみ入れた薄い食塩水のほうが効果があります。


②食事はお粥かうどんを

 食事はお粥かうどんのような消化のよい炭水化物を中心にとるようにします。

これらの食物は小腸でほとんど吸収されてしまい、大腸には行きません。つまり下痢の元となる弁が作られないのです。


③下痢止めは半分に割って服用する

 そもそも下痢とは、便中に含まれる毒素や病原体を体外に捨てようとする体の防衛作用です。ですから下痢を急に止めると、体内にその毒素なり病原体なりがとどまり続けることになります。とはいえ下痢が続くと水分が大量に失われ、体が衰弱してしまいます。つまり、下痢は止めるべきですが、少しは便の排出を続けるようにする必要があります。下痢は少しずつ回数を減らしていくのが理想の治し方です。決して下痢止めを一度に大量に服用してはいけません。少量の下痢止めを分散して様子を見ながら服用するのがコツです。自動車の運転でいえば、ブレーキを一度に深く踏み込んで急ブレーキをかけるよりも、軽いブレーキを何度も踏みながらスムーズに減速するほうがいいのと同じです。


④下痢の後はシャワーを浴びる

 下痢のほとんどは便中の病原体が口から入ることにより伝染します。下痢の後、お尻をふいた手は病原体がたくさん付いていると思ってください。その手が食卓に触れると、食卓は病原体だらけになり、そこで食事をすると新しい患者が発生します。これを防ぐには下痢の後、面倒でもシャワーを浴びることです、特にお尻の周りを中心に体全部を洗い流します。その後で手もよく洗ってください。家族内に第二の犠牲者を出さないために、必ず心がけるようにしましょう。

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